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2019年06月07日(Friday)

デュフィ好みのテーマ

「画家のアトリエ」
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1928年から1930年にかけてデュフィはこのような「アトリエでのモデル」の作品を繰り返し描いたが、そこに自分まで登場させているのは珍しい。彼が好んだテーマ、すなわち自画像、裸婦、海景といったものが一画面に統合されているのである。また、室内にはしばしば窓が添えられているが、これは外の世界と室内を隔てる境になるものであり、それを越えて入ってくる光は、室内の床や壁面に明るく満ちる。窓辺では外と内との選択をためらうように、2匹の蝶が飛び交っている。
≪電気の精≫を交響曲とすれば、デュフィが好んだこのようなテーマは室内楽といえようか。また、テーマだけにかぎらず、諧調ある「青」の扱いや、黄土色、オレンジ、緑などの色彩のアラベスク模様のような展開も十分に駆使されており、スケールは交響曲ほど大きくなくとも、音楽の醍醐味にも似た味わいのこめられた作品である。
 

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